中原雄一(
21/10/20 Wed 22:43
更新)
第二次「国民健康づくり対策」
- 疾病構造の変化
- 日本人においては、死因を調べると「感染症」から「生活習慣病」に移行してきたことが見て取れます。
- 生活環境や栄養摂取状況の改善に加え、抗生物質の発見が感染症の減少につながったと考えられます。
- 逆に急速な人口高齢化とライフスタイルの変化などを背景に、生活習慣病が急増したものと思われます。この生活習慣病は必ずしも医学的に定義された概念ではないようですが、多くは次のような意味で用いられるようです。
- 高齢者に疾病量が比較的高いもの
- 慢性退行性疾患
- 悪性新生物
『健康の概念,医事法規(郡司 篤晃)』より
- 第二次「国民健康づくり対策(アクティブ80ヘルスプラン)の概要
- 上記の疾病構造の変化に加え、国民の健康づくりに対するニーズが高度化・多様化してきたため、「国民健康づくり対策」も従来からの各種施策を拡充・強化しなければならなくなりました。
- 人生80年の時代を健康で積極的に生きていくためには、積極的に自らの健康増進をはからなければなりません。
- 特に、生活習慣病中心の疾病構造のもとで健康増進をはかるためには、生活習慣病のリスクファクター(危険因子)を減少させることが効果的でしょう。このリスクファクターが少ないほど「健康である」という解釈もできるかもしれません。
- 厚生省は、国民が生涯にわたって健康な生活を営み、社会の活力を向上させていくために、ライフスタイルの改善、つまりクォリティ オブ ライフ(QOL)の追求を通じた健康づくりを進めていくことを課題しました。
- そこで、半健康の人、リスクファクターが多い人(ハイリスク者)を含めたすべての国民に適切な運動を行う習慣を普及させることによって、国民のライフスタイルそのものが「運動、栄養、休養」のバランスがとれたものにすることを目標にした第二次「国民健康づくり対策」(別名:アクティブ80ヘルスプラン)を昭和63年度から実施しています。
- 高齢化が進行すると、老人医療費のいっそうの増大が見込まれますが、生活習慣病の発生を予防することにより、医療費の適正化がはかられるでしょう。そのことにより、最終的には国民の負担の軽減につながるはずですが、これには国民一人一人の意識が最も重要になります。
- 具体策
- 健康的な食生活習慣の確立
- 「健康づくりのための食生活指針」(昭和60年)の普及
- 国民栄養調査の実施(毎年)
- 日本人の栄養所要量の普及(第5次改訂、平成5年)
- 健康づくりのための運動指導者の育成
- 健康運動指導士資格認定制度の創設(昭和63年3月)
- 健康運動実践指導者資格認定制度の創設(平成元年6月)
- 運動普及推進員養成事業の実施(昭和63年度)
- 健康増進施設認定制度の創設
- 運動型健康増進施設と温泉利用型健康増進施設を認定(昭和63年3月)
- 疾病予防施設、温泉両用運動施設に対する社会福祉・医療事業団からの融資制度創設(昭和63年9月)
- 健康保険組合による利用促進(
- 利用料金にかかる医療費控除制度(平成4年7月)
- 診療報酬点数表の改正に伴う運動療法指導管理料の新設(平成8年)
- 運動に関する啓発・普及
- 運動所要量の作成(平成元年7月)
- 運動強度…各人の最大酸素摂取量の40%(有効下限)から70%(安全限界)程度の分銅負荷のある有酸素運動。
- 運動の持続時間…からだが有酸素運動として反応するための時間を考慮すると、少なくとも10分以上継続した運動であることが必要である。
- 1日の合計時間…1日の合計時間としては20分以上であることが望ましい。
- 運動頻度…原則として毎日行うことが望ましい。
- 運動強度は個人の健康状態および全身持久力に応じて適切に設定し、また、病人や高齢者については、運動の安全域が縮小するため、より厳密な管理のもとで運動を行うことが必要。
- 「健康づくりのための運動指針」作成(平成5年4月)
- 休養に関する啓発普及(最も遅れている分野)
- 適切な休養取得の促進のための検討
- 「健康づくりのための休養指針」の策定(平成6年4月)
- 喫煙対策の推進
- 健康文化都市推進事業の実施