出典 『資料:指定運動療法施設における医療費控除制度の現状と今後の活用方法を探る』
近年、成人病が国民の疾病構造の中心を占める状況にあるが、これらの疾病の治療に対しては、運動療法が一つの有効な手段であることが明らかになってきている。こうしたことから、医師の指示に基づく運動療法を実施する際に必要となる健康増進施設の利用料金について、所得税の医療費控除が適用されることとなった。
1.控除の対象
実施される運動療法が次の条件を満たす場合の一回ごとの施設の利用料金が、控除の対象となる。なお、付帯設備の利用料金等は含まれない。
◆高血圧症、高脂血症、糖尿病、虚血性心疾患等の疾病で、医師の運動処方せんに基づいて行われるものであること。
◆概ね週1回以上の頻度で、8週間以上の期間にわたって行われるものであること。
◆運動療法を行うに適した施設として厚生省の指定を受けた施設(「指定運動療法施設」)で行われるものであること。
2.施設の指定
厚生省が指定運動療法施設として指定する際の、主な要件は次のとおりである。
◆「厚生大臣認定健康増進施設」(参考)であること。
◆施設に提携医療機関が付置されているか、または、提携医療機関の担当医が日本医師会の「健康スポーツ医」として認定を受けていること。
◆運動療法の実施に関して、提携医療機関から随時指導・助言を受けられること。
◆運動療法実施にかかる一回ごとの施設利用料金(5,000円以内)が設定されていること。
◆会員制の施設であっても、運動療法のために必要な場合には会員以外の人にも利用させること。
◆運動療法の実施に際しては、健康運動指導士及び健康運動実践指導者に指導を行わせること。
◆少なくとも4週間に一度、意志による症状改善等の経過観察を受けさせること。
3.医療費控除の手続き
患者は確定申告の際、税務署に、施設利用料金の領収書とあわせて、「運動療法実施証明書」を提出する。
運動療法実施証明書は、施設が作成し、運動療法処方せんを発行した医師が内容を確認し、署名・捺印をする。
(参考)厚生大臣認定健康増進施設の概要
厚生大臣認定健康増進施設は、健康づくりのための運動を安全かつ適切に行うことのできる施設として厚生大臣の認定を受けた施設であり、その要件は次の通りである。
1)運動や体力測定のための施設・設備があること。
2)健康運動指導士などの運動指導者が配置されていること。
3)提携医療機関があること。