さて、
「運動を倍増して、食事を半減したのに効果が出ない」
このケースについての回答は、私たちのからだの「適応現象」にみることができます。
「適応」とは、「周囲環境に私たちのからだが順応していくこと」。私たちのからだは、
「あまりにハードな運動を行おうとしているのに、入ってくるエネルギーは少ない。このままでは、貯蔵エネルギーが枯渇してしまうので、『消費エネルギーを少なくして』対応しよう」
とするのです。運動をしてもエネルギー消費の無駄が削られ、運動しているとき以外も、なるべくエネルギーを使わないよう、節約することになります。そして、
「『大前提』としていた『消費量の増大』は起こらずに、逆に『消費量の大幅な減少』が起こってしまった」
結果、体重が変化しなくなった、と推測することができるわけですね。
こういったことが、正しい前提としてのエネルギーバランスを見極めるのをむずかしくしており、
「消費エネルギーや摂取エネルギーの計算なんて意味がない!」
という意見を生んだりしているのですが…。
悲しいかな、私たちのからだは、長い飢餓時代を経験しており、飢餓状態に対応するためにエネルギーを蓄える機能は充実しているのですが、無駄なエネルギーを消費するという機能は低いのです。そのような長い飢餓時代に対して、現在私たちが経験している「飽食」の時代なんて、ほんの一瞬に過ぎないのですから、当然ではあるのでしょうが。