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中原雄一( 21/10/20 Wed 22:43 更新)

脂肪を燃焼するのは遅筋(ちきん)であって速筋(そっきん)ではない?

Q(質問)

  • 先日テレビ番組「あるある大辞典」を見ました。
  • 「筋肉」の特集だったのですが、そこでも脂肪を燃焼させるのは筋肉であるといっていましたが、ちょっとひっかかったのは-脂肪を燃焼させるのは「遅筋」であって「速筋」ではない-とゆうことです。
  • とすれば筋力トレーニング(高レップでやれば別ですが)で筋肥大させるのはほとんど「速筋」ですので、筋トレはダイエットにはならないゆうことになりますよね?どうなんでしょうか (女性)

A(回答)

  • 「あるある大辞典」放送後、ICOにもいくつかの問い合わせがありました。私もあの番組を見ましたが、考証が極めて制限されていること、表現が正確でないところがかなり目につきました。
  • 遅筋線維と速筋線維について言及しておくと、脂肪を燃焼するためには酸素が介在する必要があるのですが、速筋線維にもその能力はあります。速筋線維は脂肪を燃焼させないのではなく、その能力が低いという表現がおそらく正しいと思います。脂肪を燃焼させるのは「遅筋」であり「速筋」ではない、という解釈は厳密には誤りですね。
  • 有酸素運動でなければ「脂肪は燃焼しない」という考え方も、人間の生態の一部だけを分析したものに過ぎません。確かに有酸素運動は運動中のエネルギー源として脂肪を利用できますが、それは極めてわずかな量です。
  • おそらく現代人の多くは、運動している時間より安静にしている時間が長いと思うのですが、このような時には体脂肪が積極的に生命維持のためのエネルギーとして使われています。このような時間帯に効率よく脂肪を燃焼することを考えることもまた必要ではないでしょうか?
  • この意味では、筋肉を大きくする筋力トレーニングには大きなアドバンテージがあります。私たちの基礎代謝の多くを占める組織が筋肉だからです。
  • この点で、「ウォーキングの後に代謝上昇反応が長く続く」ということでしたが、それはウォーキングを続けて3ヶ月後も同じ反応が出るでしょうか? このような点についてももっと研究を進めるべきではないでしょうか?
  • 「あるある大辞典」に関する質問にまとめてお答えする意味で、「筋力トレーニングと減量」というページをUPしてあります。参考にしてみてください。

中原 雄一

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2003年8月9日追記

まず、「遅筋」「速筋」という言い方自体が正確とはいえません。

筋肉を構成する細胞を「筋線維(きんせんい)」といいますが、この話は脂肪を燃焼しやすい細胞、しにくい細胞の話をしているわけですから、厳密には「遅筋線維」「速筋線維」という呼び方をしなければなりません。

また、この回答では私自身も曖昧にしてしまっていますが、有酸素運動と、エネルギー供給機構の一つである有酸素性機構を区別していません。有酸素性機構とは、筋運動の直接のエネルギー源となるATPを合成するのに「酸素」を介在させる機構のことであり、有酸素運動というのは、その有酸素性機構を主体にする運動のことです。

逆に無酸素運動についても同じことがいえます。無酸素運動は、ATPの合成に酸素が介在しない無酸素性機構(ATP-CP系、乳酸系)を主体とした運動のこと。その主体ではない機構である有酸素性機構も内部的には同時進行しているわけであり、無酸素運動でまったく脂肪が燃焼されないとはいえないわけです。

研究者によっては、anaerobic exercise、aerobic exerciseを有酸素運動、無酸素運動と訳すこと自体に誤解を招く原因があったのではないかといいます。