指導現場で減量のインストラクションを行っていると、「体重をxxkg落としたい」という希望をよくうかがいます。
そもそも肥満とはなんでしょう?
その定義は
「肥満とは体内、主として皮下および大網に脂肪が過剰に貯蔵蓄積された状態」(川合・藤井, 1975)
であるとされています。
「本当にやせる必要がある?」でも述べましたが、体脂肪率(体重に占める脂肪重量の割合)が男性25%以上、女性30%以上になると「肥満」とされます。
この定義に従えば、脂肪の過剰=肥満ということが分かると思います。それは必ずしも体重の過剰に反映するとは限りません。
仮に体重が平均より重くても、脂肪が少なければ、それは肥満とはいえないということになります。
逆に、「やせ太り」なんていう言葉がありますが、これは体重が少なくても脂肪が多いという隠れ肥満を表現したものでしょう。
この例から見ても分かるように、肥満を解消する、という場合には本来は体重そのものではなく、「過剰な脂肪」をターゲットにするのが本意ということになると思います。 フィットネス クラブで行う「健康のための」「理想のカラダを手に入れるための」減量も、体重を落とすという認識だけでは不十分です。 ICOでは、減量は
「体重を落とすことではなく、無駄な脂肪を落とすこと」
という、本筋に基づいた考え方をしています。
肥満は大きく「症候性肥満」と「単純性肥満」に分けることができます。
ICOが対象としているのは、2.単純性肥満のほうです。1.症候性肥満については、病院による治療の過程でその原因を取り除く必要があります。
しかし、仮にもともと単純性肥満であったとしても、その結果何らかの合併症を招いている場合があります。そのような場合にも、病院での治療が必要となりますのでご注意ください。
脂肪細胞(正確には白色脂肪細胞)が脂肪の蓄えを増やす方法として、以下の3つがあります。
思春期に増殖してしまった細胞は、基本的に以後減少しません。細胞はその機能を全うするため、積極的に脂肪の取り込みを行うでしょう。その結果として太りやすい体質を招くことになります。
以上の観点からは、母親の妊娠期間中の食生活や、思春期までの本人の食生活が極めて重要なポイントであることがわかりますね。
本来、肥満については、身長や体重だけでなく、体脂肪率で判断しなければならないことは、このページの最初で述べました。
しかし、実際には、その体脂肪率を測定するための手段が確立していないことが問題です。現在、一般家庭では生体電気インピーダンス法を利用した、簡便な器具が普及しています。
こういった器具が算出してくれる体脂肪率というのは、あくまで目安にすぎません。これらで測定した測定結果が男性で25%、女性で30%を超えていたからといって、即「肥満だ」と悲観するのはやめましょう。
現状では、得られた体脂肪率の結果だけでなく、BMIやサイズ測定など、さまざまな測定を組み合わせながら、評価していくことが最も望ましいといえるでしょう。