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中原雄一( 21/10/20 Wed 22:43 更新)

ほんとうにやせる必要がありますか?

※「怖い摂食障害」とかぶりますが、重要なインフォメーションが多いのでこちらも残しました。

やせる動機を見直してみよう

現在までさまざまな形で減量プログラムにたずさわってきましたが、とにかく多くの女性が「体重」にとらわれすぎているという感があります。

どの程度が理想的なのかという値を具体的に検討したわけでもなく、「芸能人の〇〇が40kgだから、彼女と同じにしたい」という動機では危険極まりありません。

極端な例では、身長150cm強・体重40kgの女性が「私って太っているでしょう? 本当はあと4kgくらいやせていたのよ」とか、身長160cm・体重33kgの女性が「あと3kg落としたい」とおっしゃってきたケースもありました。

このようなケースにおいては、おそらく現状に対する認識のズレも大きく、正常な判断を行いにくくなっているのでしょう。

これは男性の目から見た評価かもしれませんが、「美しい」ということと「細い」ということは全く別物だと思います。あなたのカラダを美しく演出するためには、あなたにもっとも適したボディ サイズを試行錯誤しながら検討し、それに近づけていくことが必要なのではないでしょうか。むやみやたらと細くすることが美しさにつながるということはありえません。

女性本来の美しさを軽く考えないで、いろいろな方面から理想的な体型を追求するようにしてみてください。

私が運動指導に係わった方の中には、摂食障害に陥っていると推定される方もいらっしゃいました。もし、このような症状でお悩みの方がいらっしゃったら、医師などの専門家に相談することをおすすめします。

拒食・過食については、本人だけでなく周囲を巻き込むケースも見られます。周囲のご家族などがそのご本人に対して「おかしい」と感じるようなことがあったら、なるべく早く専門家に対策を相談してください。

私にはどの病院のどの先生がいい、という紹介はできませんが、その道で実績のある病院をお探しになるとよいと思います。

 

具体的な目安

さて、それでは減量を行うとき、どのくらいのレベルに目標をおいてプログラムを進めればよいのでしょうか?

一般によく目標とされるのが「ブローカ-桂変法」という式の値ですね。

標準体重={身長(cm)-100}×0.9

この式は現在では学問的根拠の検討が不十分だと指摘されています。実際にこの式を適用してみると、身長の低い人には厳しく、高い人には甘いことが分かります。

ですから、すでに臨床の現場だけでなく、一般の運動指導の現場でも用いられることはほとんどありません。

現在、臨床の現場で使われる指標はBMI(body mass index)法です。

BMI=体重/{身長(m)×身長(m)}

このBMIの値が、20未満の場合は「やせ」、20以上24未満の場合は「正常」、24以上26.5未満は「肥満傾向」、26.5以上が肥満とされています。

このBMIが、男性ともに約22のとき、疾患にかかる確率が最も低いとされ、標準体重の指標とされています(女性の場合21という人もいます)。

男性の標準体重=身長(m)×身長(m)×22

減量のための目標体重を設定する場合、上記の値から大きくかけ離れないことをおすすめします。 特に、BMI19.8を下回る体重を、自分の判断だけで設定してはいけません。

BMIは、指標としては有効性が高いと思いますが、やはり身長と体重を使った指標であり、体脂肪の過剰を示すものではありません。

最後に、個人で行う場合は「サイズ」も目安にできるでしょう。特に美容目的で行う場合はもっとも役立つ目安かもしれません。

また測定も特に高価な器具をそろえる必要がなく、気軽にご自宅で行えます。

 

本来は体脂肪率での設定が理想

本来、肥満というのは

「脂肪が過剰に蓄積した状態」

ですから、体脂肪を目安に標準体重を規定すべきだと思います。

ひとつ上のコーナーで紹介した「BMI」は広く使われる指標ですが、あくまで身長と体重から求めた目安にすぎません。

体脂肪率を基準にする場合、男性25%以上、女性30%以上が肥満とされています。

アメリカの身体組成研究者は、「体脂肪率が望ましい状態であれば身長や年齢にかかわらず、その体重が望ましい体重である」としています。

しかし、この方法は測定法が簡単でないこと、臨床では十分に普及していないこと、疫学的調査がほとんどないことなどの理由で肥満症の診断に使われるケースは少ないのが現状です。

現在、「生体電気インピーダンス法」を用いた、かんたんで便利な家庭用体脂肪測定器が普及していますが、必ずしも肥満を判定するのに十分な機能を持っているとはいえません。あくまで一つの目安として、BMIなどと組み合わせて身体状況を把握されることをおすすめします。

私としては今後、より簡単に、正確に体脂肪を測定する術が開発されることを望みますね。

 

したがって…

可能であるなら、体脂肪測定器によって得た結果とBMIを組み合わせて、減量の必要性を考えればよいでしょう。

BMIの場合、24.2以上になるのなら、減量を行ったほうが好ましいかもしれません。ただし、筋肉量の多いアスリートにとって当てはまるものではないことにご留意ください。

また、個人で減量を行う場合は、19.8を下回らないように目標を設定しましょう。

体脂肪測定器で得た値を参考にするなら、男性で20%を上回るような場合、女性で25%を上回るようなケースで減量を意識すればよいと思います。この際は、設定する目標体重がBMIにして19.8を下回らないようにしてみてください。

もちろん、人によって体型が異なりますので、これらの目安は絶対とはいえないのですが、一つの目安としてご利用ください。 決して、無意味な目標体重を設定しないように!

→BMI法による判定プログラムはこちら

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