減量プログラムにはエクササイズ(運動) プログラムなどが含まれておりますので、開始前に主治医に相談されることをおすすめいたします。疾患をお持ちの方は必ず主治医の指示に従ってください。
このプログラムは必ずしも完全なものではなく、現在までの指導の中から模索してきたものを一部まとめたものです。
また、インターネット上のWebという性質のため、不定期にさまざまな変更が加えられたり、削除される可能性があります。
どうしても、紙媒体と異なりますし、直接の指導ではありませんから、カリキュラムのニュアンスを伝えるのは難しいのですが、ご自分の頭の中で全体像を再構成してみてください。
ICOのプログラムは以下の段階で進めます。これを1サイクルと数えますが、必ずしも1回のサイクルで完璧を求める必要はありません。
1サイクルで習慣化しないようなら、何回か繰り返してもかまわないのです。「減量に対する意識の持ち方」にも述べていますが、完全に理解したつもりでも、それをコントロールするプログラムから離れると、少しずつ認識のずれが生じてくるからです。
おそらく、そのずれについて、「日記」や「体重」、あるいは「体脂肪率」などで発見できるでしょう。そのときに、またこのプログラムを見直せば良いわけです。
原因がすぐに分かれば、その部分を実行して認識を修正すれば良いし、そうでない場合は、もう一度全サイクルをやり直してみると良いでしょう。
もちろん、2回目以降は1回目に得た結果が残っていますから、期間を短縮して(特に学習期間)行うと良いと思います。
人間は完全ではありません。失敗やずれを「当然のこと」と認めましょう。そして、どうやったら次回の失敗を防げるのかを自分なりに検討します。
このようにポジティブな反省を繰り返すことで、失敗を少なくしたりずれを小さくしたりすることができ、体重を保つのに役立つことになります。
何度も行うと、わざわざこのページを確認しなくても、頭の中で修正を図ることができるはずです。
一番初めの段階では減量の理論の概要と実技を覚える必要があります。
いろいろなスポーツクラブを調査してみると、実施期間を6週間としているところが多いようです。
ICOの場合はご家庭向けのプログラムですので特に限定をしません。だいたい6週間~2ヶ月程度をこの期間として捉えていただきたいと思います。
この期間はご自分でノートを用意し、以降の項目について管理するチェックリストをご自分なりに作成していただきます。このコーナーをご覧の方はパソコンを持っておられる可能性も高いですから、使いやすいフォーマットをパソコンで作成しても良いでしょう。
そして、この期間はこのチェックリストを使って毎日チェックします。また、その日の感想も一緒にまとめておくと良いでしょう。
また、同じノートの別の部分に、毎日の動向を続けてチェックできる体重表を用意しておきましょう。詳しくはIV.を見てください。
学習段階で得た内容を、チェックリストを使わずに実行します。学習期間で身につけたコントロールの方法をチェックリストに頼らず、感覚的に行ってみましょう。
ただし、まだまだ学習内容と実際の状況の認識のずれが起こりやすい段階であり、ときどき修正してあげなければなりません。1週間に1回はノートに作ったチェックリストに目を通し、学習期間で行ったことを実行できているか確認してください。
いくつかのスポーツクラブを参照してみると、2ヶ月から3ヶ月後に習慣化を確認するためのフォロー プログラムが準備されているケースが多いようです。ICOでは期間を限定しません。2ヶ月~6ヶ月を目安にしてください。
最終的に、減量プログラムを自然に、あなたのスタイルで行えるようにします。
でも、Super Fat-lossのような減量法にかぎらず、どの道の達人でも「スランプ」を感じることがあります。これを未然に防ぐため、1月に1回程度このプログラムをチェックして見直しを図ることをお薦めします。
不十分な場合は、改めて学習期間から開始してみても良いと思います。減量プログラムを繰り返すことは決して恥ずかしいことではありません。
現代における減量プログラムは多くの場合、私たちの遺伝子のプログラムに逆らうものである可能性があるわけですから、いつも同じように減量に好ましい生活スタイルを維持できるとは限りません。スポーツでもスランプ脱出のためのプラクティスがあるように、当然減量にもずれを修正する努力が必要です。
学習段階(初日)
(初日~最終日)
(2~3週間おき)
(最終日)
|
2.復習段階(初日~最終日)
(1週間に一度)
(1ヶ月に一度)
(最終日)
|
3.実践段階(実践段階で行うこと)
(1~3ヶ月に一度)
(3~6ヶ月に一度)
(状況によって)
|
|
まずは、周りの親しい人たちにあなたが今から行おうとしていることを知っていただくことからスタートします。
宣言によってあなたの減量プログラムに対する意志がより固まり、成功の可能性を高くするからです。
また、周囲の人たちもあなたに気を遣うようになり、無理に食べ物を勧めなくなるでしょう (そうでもない?)。
そして何より「友だち(家族)の好意を断れないから、食べざるを得なかった」というような言い訳を断ち切ることもできます。
「家族や友人にはヒミツにしておいて、おどろかせてやるわ!!」という方が多いのですが、ほとんど失敗しています。あなたの周囲の大切な人たちのサポートは不可欠であるという認識を持ちましょうね。
毎日体重を測定します。それにより、期間中の体重の減少傾向・増加傾向を知ることができます。
体重のモニタリングに関しては、正確さを期すために、毎回なるべく同じ時間帯に測定するのが基本です。起床直後に測定すると良いでしょう。寝床のすぐそばに体重計を置いておくと忘れずに済みます。
基本的には1日1回の測定を行うと良いでしょう。測定した結果を体重グラフに書き込みます。
大切なのは、毎回、体重グラフの流れをご自分で分析することです。昨日の生活パターンでなぜ増えたのか、あるいは先週の生活パターンでなぜ減ったのかを知ることで、減量のために必要な生活パターンを知ることができるのです。
そのためには、毎回ノートにつける感想や気をつけたことなどのメモが非常に役立つでしょう。
もう一つ、九州大学第一内科で考えられた方法をご紹介しておきます。この方法はいろいろなメディアで紹介され、減量指導のさまざまな現場で応用されていますが、この方法の優れているところは、生活スタイルと体重の変化の関連を視覚的に追いやすいということでしょう。
アメリカの「行動療法」では「食事日記」をこと細かに記録し、それを分析していくことが多いのですが、大変で長続きしません。しかし、この方法のように体重の変化から生活パターンを分析する方法は比較的簡単で、長続きさせやすい傾向にあります。
この方法では以下のタイミングで毎日測定し、「体重グラフ」に記入してください体重グラフは下の図を参考に作るとよいでしょう。表計算ソフトなどで作ってもいいですね。
昼食直後がないのは、参加者がお勤めをされていることを想定しているからです。もし条件が整うなら、昼食直後の体重測定を入れてもかまいません。
測定条件はなるべくいつも同じにします。裸である必要はありませんが、だいたい同じような服装で測定するようにしましょう。
また、あくまで「直前」「直後」です。間を開けずに測定することが必要です。
上の図をご覧ください。開始直後はこの図の上のグラフのような不規則な線が見られがちです。これは食事が不規則だったり、付け忘れがあったりするためです。
しかし、次第に慣れ、食事と生活習慣のコントロールがうまくいくようになると、この図の下のグラフのような規則的な山形ができあがることでしょう。朝食から夕食にかけて上昇した体重が寝る前までに半分ほどに減り、翌朝になるとさらに減っている、というパターンです。
このパターンが繰り返されるようになれば、生活は規則正しくなり「どのような生活パターンで体重が減るのか、あるいは増えるのか」を自分なりに研究できるようになります。
なるべく規則正しい時間帯に食事をとるように心がけてください。
現代に社会生活を送る以上、それが困難であることは分かります。しかし、なるべくそのような形態に近づける努力をしなければ、「何も変わりません」。
この3回の食事の間には間食をとらず、また最後の食事から就寝までの間は2時間以上時間をあけるように気を付けてみましょう。
できたかできなかったか、ご自分で作成された「チェックリスト」に毎日記入してください。
「1日5~6回に分けて食事をとったほうが脂肪になりにくい」ということで、その方法を採用する減量法もあります。機会があればこの方法についても触れようと考えていますが、「食事時間とそれ以外の時間の無分別」を助長する可能性があります。
食事をとるとき、ゆっくり食べることを心がけます。具体的には、1口食べるごとに20-30回噛むことが望まれます。
「噛む」という動作は、脳の視床下部(ししょうかぶ)という部分にある食欲を抑える「満腹中枢(まんぷくちゅうすう)」を刺激します。このおかげで、無駄なエネルギーをとらずにすむことになるのです。
また、食べるのに時間をかけることそのものも食欲のコントロールに役立つでしょう。「満腹中枢」は血糖値(血液中の糖分濃度)からも満腹度をコントロールしています。もし食べる速度が遅くなれば、たくさん食べてしまう前に「満腹を感じることができる」ようになるはずです。
最後に、噛む動作が「自律神経(じりつしんけい)」に与える影響も見逃せません。自律神経とは私たちのカラダを自動的にコントロールしている神経で、活動時のカラダを司る「交感神経(こうかんしんけい)」と、休息時を司る「副交感神経(ふくこうかんしんけい)」の2つに分けられます。
噛む動作は「交感神経」を刺激しますので、食後のエネルギー代謝上昇反応(DIT反応)を高めるのに役立ちます。食事でとったエネルギーを上手に消費して、無駄なエネルギーをため込むのを防げるわけです。
噛む間、お箸を置くようにするとより効果的です。
これもご自分で作られた「チェックリスト」に毎日チェックを入れてみましょう。
これはあなたが1日にどれくらい活動をしているのかを調べる一つの目安になります。
1日8,000歩を目標にしてください。もちろん達成できない日もあると思いますが、なるべくそれに近づけるようにしてください。
ただし、普段の歩数が極端に少ない方は、少しずつ歩数を増やすようにしていかなければなりません。2000歩の方は3000歩を、3000歩の方は4000歩を目指すというように、少しずつステップアップしていくように!
その昔、人間は常に活動していました。生きていくために、カラダを動かすことは必要不可欠な要素でした。
比較的最近でもそうです。中原の実家に洗濯機が入ったのは、私が生まれたとき(31年前)だったそうです。それまでは全部手で洗っていたんですね。
そのころは、スーパーマーケットもなく、手に買い物かごを持って、八百屋さん、魚屋さん、肉屋さん、パン屋さんなど、次々と歩いていかなければなりませんでした。主婦の人が乗用車を使う機会も今ほど多くなく、子供も背中に背負って歩かなければならなかったそうです。
私の実家は鹿児島県ですが、当時の生活形態は今ほど洋風化されておらず、布団の上げ下ろしも主婦の仕事でした(日本の老年女性は西洋人の老年女性より大腿骨の骨折が少ないそうですが、それを支えてきたのはまさしく毎日のこの作業であったといわれます)。
また、男性の方の仕事も肉体的な負担が大きい時代でした。
今は日本全国かなり広い範囲にスーパーマーケットがあります。車を駐車場に止めて買い物をすれば、すべてそこでそろいます。
生活は洋風化され、子供はベビーカーで移動できます。ベッドの普及で布団の上げ下ろしも少なくなりました。
食事も洋風化され、「脂肪を多くとる」食生活に変化しつつあるようですが、それをエネルギーとして消費する機会もめっきり減ったわけです。
このような急激な変化が人間のカラダに及ぼす影響は計り知れません。いずれレクチャー ルームで解説をする予定にしていますが、このような状態はいずれ「運動不足病」ともいわれる「成人病」を招く原因になります。
このような状況を防ぐために、私たちは「意識的に」エクササイズを行わざるを得ない状況にあるといえるのです。
プログラムと方法については、「プログラム サンプル」のコーナーで紹介していく予定です。