さて、これから減量プログラムを行うにあたって、どのような意識を持っておけばよいのでしょうか?
雑誌などの記事をみると、どうしても
「(体重や脂肪を)落とすことそのもの」
にとらわれている気がしてなりません。
たしかに、それは減量プログラムの「目的」でしょう。しかし、それだけに集中していては、ピンチにおちいったときに正しい方向づけをする余裕がなくなってしまいます。つねに、「客観的に判断する」余裕を持つことが必要なのです。
ここでは減量プログラムを行う際の、意識の持ち方についてまとめてみました。
減量プログラムは、
「単に体重や脂肪を落とす」
ことではなく、
「得られた結果をなるべく維持すること」
を前提に進めるべきでしょう。
「なるべく」という言葉を付けたのは、それがとても「大変な作業」であることが分かっているからです。
現在までに減量を経験された方ならおわかりかと思いますが、プログラムを終了したあと、かなりの人がリバウンドを経験するという事実があります。
ある一定ラインの目標を達してしまった後は、減量への目的意識が薄れがちです。その結果、プログラムの実践が徐々におろそかになっていくのでしょう。特に、「体重を落とすことにやっきになっている」人の場合は、その傾向は顕著になるはず。
ある程度意識しなければ、体重を保てないという現象の裏にはその人の
「遺伝的に規定された体重(体脂肪率)=セットポイント」
が存在するからだといわれます。
人間は「飢え」に苦しんできた時代のほうが、現在の「飽食」の時代よりもはるかに長いため、おそらく多くの人のセットポイントは高めに設定されているのでしょう。自分の考える体重とセットポイントの間のギャップを埋めるためには、やはりある程度の努力や工夫が必要になってくるはず。
というような具合ですから、一度や二度の失敗、あるいは減量の繰り返しというのは、きわめて当たり前のことでもあるのです。
「なんでできないの?」「私はだめだ」と決して思わないでください。
私は仕事がら、さまざまな減量コースの広告などを見てきましたが、最近では
「リバウンドしない」
「リバウンドを防ぐ」
というキャッチフレーズが多くなってきていますね。しかし、これは言い過ぎではないかと私は危惧しています。
これらの減量法は、プログラムを習慣化することがリバウンドを防ぐ根拠となっているのですが、極めて厳しい努力や工夫を要する減量プログラムが短期間で習慣化するとは思えません。3ヶ月後や半年後に体重をある程度保っていたことで「リバウンドを防いだ」というのは時期尚早だと思います。
広告の中身をよくよく見ると「リバウンドしない」という裏には
「それを継続できた場合に」
という条件が書かれていたりします。それができないからリバウンドするのではないですか! このようなキャッチフレーズにはだまされないことです。
コースに参加している間や、その後しばらくはプログラムを継続できたとしても、その後に
「微妙な狂い」
が生じてくるでしょう。しかし、これは仕方がないことです。 私が過去にスポーツクラブで減量コースを開設するときに特に参考にしたのが、九州大学第一内科が行っていた減量プログラムです。
「1回のコースで完全に減量を完成させるということではなく、何度参加してもよい」「何度も参加するうち少しずつ習慣化を進める」
というスタンスは、習慣化の難しさを考えると納得のいくものです。
ICOの減量プログラムも同じで、1度一通りのプログラムを終了しても、何度も開いて参照したり実践できるものにしたいと考えています。最初は違和感を感じるプログラムも、何度も実践したり、勉強を進めたりすることで少しずつ習慣化が進められ、自然に感じられるようになることが期待できるでしょう。
ちなみに、この繰り返し(ウエイト サイクリング)によって、やせにくい体質を作る、ということについては、医学的な根拠はないようです。 たとえば、減量によるエネルギー消費量の低下(低エネルギー食への適応現象)はウエイト サイクリングに限らず起こることで、ウエイト サイクリングそのものの問題とは切り離して考える必要があります。
また、繰り返すことにより減量しにくく感じるようになる背景には、年齢が進む(加齢)ことによる基礎代謝量の低下があることを忘れてはなりません。
「プログラムの習慣化」を進めるために特に大切なのは、「減量プログラムの設定に無理があってはならない」ということでしょう。
からだに合わない、きついプログラムは短期間なら頑張れても、目的を達成したらすぐに止めたくなるでしょうし、再開する気も起きなくなるからです。
また、どうしても好きになれないプログラムを無理に行おうとしても長続きしません。ある種の楽しさがあることが前提だと思います。
少しずつしか落ちなくても、そのプログラムが楽しくて長く続けられるものであれば、少しずつ理想の体型に近づくことができます。そして、途中何回かの失敗があっても、次第にプログラムは日常の生活のなかに自然に息づくようになり、もとの体型に戻る可能性が低くなっていくはず。こうなってこそ、減量は成功したといえます。
「自分にとって一番最適な(フィットした)ライフスタイルを獲得する」
ことこそ、ICOの減量プログラムの目的なのです。