アスレチック ジム
中原雄一( 21/10/20 Wed 22:43 更新)

ホーリスティック トレーニング システム / Holistic Training System

  • この方法は、1984年に、アメリカのフレデリック C. ハットフィールド(Frederick C. Hatfield)博士によって考案されたものです。
  • 1本の筋を構成する最小単位(細胞)である「筋線維」を分析してみると、それぞれ違った働きを持つ、いくつかの特徴ある筋線維を見つけることができるでしょう。一般的には速筋線維遅筋線維の2つに分けることが多いようです。
  • 速筋線維は短距離走者など、瞬発力を要する競技の選手に多い筋線維で、その収縮は素早いのが特徴です。ただし、一般的に持久力(酸素よってエネルギー源を分解する能力)には欠けています。
  • 遅筋線維は長距離走者など、全身持久力を要する競技の選手に多い筋線維です。その収縮は速筋線維と比較した場合遅いのですが、持久力には富んでいます。
  • これらの筋線維の配合(数の割合)は後天的な条件で決定するのではなく、遺伝で決定すると考えられています。競技との関連性についても、競技が筋線維の配合を変化させるのではなく、競技者が自分に向いた競技を選択していった結果だと思われます。
  • さて、これらの違うタイプの筋が同じ刺激によって同じ発達をするわけではなく、筋肉をオールラウンドに鍛えようと思ったら、いろいろな強度でトレーニングを行わなければならないことになります。
  • 遅筋線維を鍛えるためには比較的軽い重量で、非常にゆっくりとした速度で、なるべく速筋線維を使わないようにコントロールしながらトレーニングを行うほうが適切だといえるでしょう。
  • また、速筋線維を鍛えるためには逆に高重量でトレーニングをする必要があると考えられます。
  • 両方の方法でトレーニングを行うことによって速筋線維と遅筋線維を含む筋全体を鍛えることができるというわけです。この理論なら、筋の最大限の肥大を狙うことができるといえるでしょう。
  • また、ハットフィールド博士は、筋線維別のトレーニングだけでなく、筋全体の構成要素別のトレーニング法も紹介しています。

    TOP

具体的なトレーニング プログラム 

セット数 レップス 負荷 方法
1-2セット目 4-6 最大
  • 毎回の挙上を爆発的に繰り返す。
  • 各反復回ごとに休止する。
3-4セット目 12-15 最大
  • 中等度のスピードで挙上を繰り返す。
  • 反復する回ごとに力を抜いた休止をとる。
5-6セット目 20-25 最大
  • 反復する各回をゆっくりと、重さに耐えながら動作する。
  • セットの反復動作中、一切動作を休まない。

※上記の最大は、レップスをこなせる最大値のことだと思います。

筋の各構成要素と効果的な負荷のかけ方 

筋線維の構成要素 筋線維全体に占める割合 負荷のかけ方
筋原線維 20-30% 6-12レプスの筋トレ
ミトコンドリア 15-25% 15-25レプスの持久力トレーニング
筋漿 20-30% 筋力&持久力トレーニング
毛細血管 3-5% 持久力トレーニング・テンション継続法
脂肪 10-15% 休養とダイエット
グリコーゲン 2-5% ダイエット
結合組織 2-3% 筋トレ
その他 4-7% 筋トレ、持久力トレ、休養、ダイエット

最近の研究DATAを見てみると、軽重量でゆっくりとした重さであっても、ネガティブ ワークの際には速筋線維が優先的に動員されるようです。

参考図書:

"BODYBUILDING - A SCIENTIFIC APPROACH" Frederic C. Hatfield Contenporary Books, Inc., 1984
『健康体力ニュースNo.102・トレーニングの科学』窪田登著/健康