スタッフルーム
中原雄一( 21/10/20 Wed 22:43 更新)

第2回フィットネスリーダーズセミナー in Oregonでの思い出

  • 1989年9月、当時所属していた会社の出張扱いで「第2回フィットネス リーダーズ セミナー」に参加をさせていただきました。
  • 参加者としては最年少でしたが、セクション長の肩書なのは私のほか数名程度で、ほとんどが支配人クラスの方ばかり。
  • ここでは、レヴァンのスタッフの方と同室になりましたが、彼はハードコアなボディビルダーでした。とても真摯にボディビルに励んでいらした方で、とても影響を受けました。
  • このセミナーでは、オレゴン州立大学の学生寮のようなところに入りましたが、とてものどかな場所でした。町全体が大学という感じで、スケールの大きさを感じました。
  • じつは、このセミナーに参加する以前から、私は「アメリカで仕事をしたい」という気持ちを抱いていました。これは少年時代からの夢といってもよかったと思います。
  • 特に私は武道を練習していましたから、「アメリカで身を立てるのに役立つ」可能性が高いと考えていました。今考えれば甘いと思いますが。
  • また、このセミナーの直前に、ある会員の方から「ロサンゼルスの道場で空手を教えてみないか」という話をいただいたことがあります。これは正直心が動きましたが、当時私は中国武道を習っていましたし、空手そのものへの興味は薄れていた時期でした。結果的にそのお話はお断りしましたけれども、アメリカ行きの気持ちに拍車をかけた部分があったのは事実です。
  • このようなとき、「フィットネス リーダーズ セミナー」はとてもありがたい経験でした。
  • このセミナーでは学生寮に入ったこともあるし、なるべくアメリカ人の生活をアメリカ風に体験してみたいと思っていました。朝から夜までセミナーは続きましたが、昼休みはキャンパスで暴れ、夜はジョギングと武道の練習を行いました。ジョギングのときは空気がきれいでとても気持ちがよかったです。j_kick1.jpg (10294 バイト)
  • 多くの参加者が「日本食が恋しい」といっていましたが、私はアメリカ式の単純な食事が気に入り、別に日本食を食べたいという気持ちになることはありませんでした。
  • 十分にアメリカ生活を満喫して日本に帰るころ、「仕事をしたい」という気持ちから「住みたい」という気持ちにまで発展していました。
  • 同時に「生半可な気持ちでアメリカにきても、意味がない」という気持ちが起こったのも事実です。「日本での仕事も落ちつかないのに、アメリカでいい仕事ができるわけがない」という現実に立ち返ったのです。
  • それからずいぶん経過しましたが「アメリカで仕事をする」という目的を達成していません。しかし、そのときが来たら必ず挑戦します。
  • さて、このときの素晴らしい体験についてはさておき、学術的に2つのポイントにとても興味を持ちました。一つは栄養学に関する観点の違い、もう一つはウエイト トレーニングのプログラムに関する観点の違いです。
  • 栄養学はアメリカのRDAと日本の栄養所要量の差以上の違いを感じました。例えば、日本では「運動をする人はビタミンCの所要量が増えるから十分にとるように」と指導します。しかし、オレゴン州立大学の講師は「運動をしてもしなくてもビタミンCの所要量は変わらない。運動をすることによってCの所要量が増えると考えるのは古い考え方で間違いだ」とまで言い切っていました(栄養学の指導はコロコロと変わるものですから、今はまた違った考え方が主流になっているかもしれません)。
  • また、私は当時「アメリカ人が日本の食事を健康に良いものだとして注目している」という噂を聞いていたのでその点にも着目したのですが、講師は「(一般的な)日本食はタンパク質が少なく塩分が多いので、良いとはいえない」とこれまたはっきり言い切っていました。
  • ウエイト トレーニングに関する考え方もおもしろかったです。
  • 元ボディビルダーで、空手の選手でもあった講師の先生が、受講者に「あなたたちは初心者にどういう指導をしますか」と問いかけてきました。
  • すると受講者の一人が、「基本的な複関節運動(2つ以上の関節が同時に動くエクササイズ)を基本に、全身を鍛えられるようにする」と答えました。これは日本においては極めて普通の答えなのですが、「初心者のうちは小さな筋肉を意識しながら行う単関節運動を行うより、複数の関節を取り巻く大きな筋肉から一度に鍛えていったほうがいい」という考え方が基礎にあるからです。
  • すると、講師は「それバカね」と変な日本語で答えました。
  • なぜなら、「複関節運動というのは初心者に対して負荷が大きすぎ、全身のエクササイズが終了する前に疲れてしまったり、事故につながったりする可能性が高い」からです。つまり「小さな筋肉から動かすエクササイズから始めるべきである」というのです。osu.jpg (12568 バイト)
  • 確かに複関節運動は重いものが上がりますが、血圧が上がりやすく、初めから行うには安全性に問題があるかもしれません。特に低体力者や有疾患者にはこの考え方を適用すべきだと感じました。
  • セミナー自体の水準は、私はそう高いものであるとは感じませんでした。しかし、総合的な要素が、私の人生に大きな影響を与えたことは間違いありません。

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