おなかの脂肪が落ちません
Q(質問)
- はじめまして。トレーニングを続けているのですが、最近行き詰まっています。
- 私は33才女性・164cm・56kg、体脂肪率22%台の体型です。見た目は痩せ型です。
- 2~3前から体のラインが急に崩れてきて、とくに下腹部まわりは目もあてられなくなってしまいました。
- これでは、オバサン体型へまっしぐらなので、一念発起して4月からスポーツクラブに通うことにしました。4月~8月までは、筋力トレーニングは腹筋くらいで、エアロビクス・スタジオプログラム(中級・ハイインパクトも含む)が中心でした。
- それでも全然効果が見られないので、筋トレプログラムを組んでもらいました。下半身中心で、レッグカール・アブダクター・レッグエクステンション・ハイプーリーと腹筋(クランチ・レッグレイズ・トーソローテション)3種類など合計7~8種類のメニューを15×2セット。これプラス30分以上の有酸素運動(エアロビレッスンかステアマスター)です。
- それから週3回ペースで通い、もうすぐ3ヶ月。効果測定してもらったのですが、落ちてほしくない胸の筋肉が落ちるだけにとどまってしまい、悲しくなりました。バストサイズが2cmも減ってしまったのに、お腹周りは全く減っていません。
- 腹筋だけでは、お腹の脂肪を減らすことができない、と以前このページのコラムで読みました。やはり美容整形で脂肪吸引しか方法はないのでしょうか?
- 藁をもすがる思いで「コッコアポA顆粒」(漢方で「便秘がちで皮下脂肪の多いかた」とあって私にピッタリだったので)を購入したのですが、指示通りに1日2回飲むとお腹が痛くて日常生活もままならないので、2~3日に一包くらいに減らしています。結局は下剤ということで、根本的な解決にはなっていないのか?とう疑問が残りました。
- それとも、このままトレーニングを続ければいつかは効果が得られるのでしょうか?
- トレーナーに相談しても「人によって脂肪の落ち方が違うから、何ともいえない」と言われてしまいました。
- 私は最初に有酸素運動してから、筋力トレーニングしていますが、順番は逆の方が効果的なのでしょうか?
- このままじっとしていれば、ますます体型が崩れそうなので運動は続ける予定です。
- 長くなりましたが、アドバイスして頂ければ幸いです。(33歳・女性)
A(回答)
- はじめまして。体重・体脂肪率ともに現在は理想的ともいえますね。ここでは体のラインの崩れについて述べてみます。
- これは誰にでもいえることですが、私たちの骨格筋(筋肉)は、加齢とともに萎縮します。筋肉のサイズの減少は皮膚や皮下脂肪組織などの「ハリ」にも影響を与え、たるんでみえる原因を作ることになります。
- この骨格筋を作る筋線維(筋細胞)には「速筋線維」と「遅筋線維」があります。骨格筋のサイズの減少の大きな原因になっているのは「速筋線維」という、短距離走などで活躍する筋線維だと考えられます。もう一つのタイプである「遅筋線維」という、日常生活や有酸素運動で主に活躍する筋線維と比べると、加齢とともに失われやすいことがわかっているからです。逆にいえば、速筋線維を刺激してそのサイズを取り戻すことによって、若返ることができるということもいえると思います。
- 現在のプログラムで効果が得られていないとしたら、筋トレの負荷不足かもしれません。現在15回を2セットということですが、これを8回-10回程度に減らして、負荷を上げたほうが効果が上がるかもしれません。トレーニング時間も短くなりますし、必要な筋線維が育つだけの刺激を確保することができます。
- また、種目の選び方も部分部分に意識を集中したものより、一つの種目で複数の関節が動く運動を選んだほうが、早道のようにも感じました。
- ただ、負荷の増量は段階的に行う必要があり、血圧やその他の問題などで、この負荷でのトレーニングを行うべきでない人もいます。その点については、もう一度施設のトレーナーさんに確認してください。
- 皮下脂肪の落ち方については、人それぞれというのはトレーナーさんのおっしゃる通りで、どの部分かを選択的に落とす、ということは基本的にできません。私が過去に指導した例では、下腹部と内腿-ヒップの下あたりは特に落ちにくいように思いました。極限まで脂肪を落とす女性ボディビルダーでも、この部分は最後まで残るようです。女性の胸も脂肪ですから、どうしてもそちらが先に落ちてしまうようです。
- 脂肪吸引はその部分の脂肪を選択的にとる(脂肪細胞ごと引きちぎる)ことができますが、リスクも大きいと私は思います。ちょうどMSNのサイトに脂肪吸引の関連記事がありましたのでご紹介しておきます。※1
- 便秘薬については、ご指摘の通り、消化管からの排出を促す薬であり、体脂肪組織からの排出を促す薬ではありません。この種の薬を常用すると、それが習慣になってしまうので、TV-CMでも強調されているように、バランスのとれた繊維質の多い食事を心がけるようにして、ご自分のリズムを作ることが必要でしょう。食事と栄養については、現在石川栄養士が個別分析結果を出してくれていますので、申し込んでみてはいかがでしょうか?
- 運動の順序については、栄養学コラムにもあるように、筋トレを先に行うと、有酸素運動時に脂肪が効率的に使われる可能性があります。ただし、有酸素運動がハイインパクトであったり、頻度・強度・時間などがハードになったりした場合、エアロビクス障害を起こす可能性が高くなります。障害の状態がひどくなると、長期間の休息が必要になり、運動効果が元の木阿弥にもなりかねません。
- 過去の障害事例などを見る限り、現段階では私は有酸素運動を先に行うほうが安全であるように思います。
- 最後になりますが、ストレスをためずに楽しく行うことが、効果を出す早道になると思います。食事や運動を楽しんで行ってみてください。限られた情報の中で細かくアドバイスをさせていただくのは難しいのですが、一つの参考意見としてとらえていただければ幸いです。
2003年8月10日追記
※1 現在はその記事は存在しないようです。
2003年8月、脂肪吸引手術を受けた女性が容体を急変させ、亡くなったという事故がありました。医師は非常に有名な方とのことですし、また亡くなった方も十分な知識を持った方だったそうです。そのような条件下で行われた手術であってもこのような事故は起こり得ます。
美容手術といっても外科手術ですから、そのリスクを十分に把握しておく必要があります。