中原雄一(
21/10/20 Wed 22:43
更新)
「あるある大辞典」による有酸素運動のタブーについて
Q(質問)
- 昨日放送の「あるある大辞典」を興味深く見ました。その中で今まで聞いた事のない有酸素運動についてのタブーが2つありました。
- 厚着をして有酸素運動をすると、脂肪燃焼効率が悪くなる。
- サウナスーツを着て出来るだけ汗が出る方が効果があると思っていましたが・・・
- 有酸素運動後、シャワー程度ならよいが、湯船につかると、脂肪燃焼効果が悪くなる。
- 私自身運動後のお風呂が楽しみなので、ちょっとショックです。
- この2点についてはいろんなダイエットの本やHPでも聞いた事がありません。
- 厚着の運動と運動後のお風呂はダイエットするにあたってはほんとに御法度なのでしょうか? (男性・39歳)
A(回答)
- はじめまして。私はその「あるある大辞典」を見逃してしまいましたので、番組がそのように決定付けた根拠を見ていません。そのため、もしかしたら重複になるかもしれませんがご了承ください。
- まず、厚着をしての有酸素運動ですが、これが当てはまるケースと当てはまらないケースがあると思います。周りが寒くて、適正な体温を保つ目的である程度の厚着をするのは必要なことであり、決してタブーではありません。むしろ適正な運動を行える環境を整えることで、のびのびと運動ができ、脂肪の燃焼効率は高まるでしょう。
- しかし、体重を念頭において「極端な発汗」を期待するような場合には、『あるある…』の結論は当てはまると思います。とくにサウナスーツのような通気性のないウェアを着ると、汗が乾かず、必要以上に体温を上昇させてしまいます。このような状況下では、作業のための内部環境(各種酵素の働きなど)を適正に整えられず、パフォーマンスが低下してエネルギー消費量を高めるどころか低下させる原因になるでしょう。
- 湯船の件でも同じことが当てはまると思います。ただし、適温の湯船に適度につかることで、リラクセーションがはかれるでしょうし、次回のエクササイズへの動機付けをも高めるでしょう。
- ただ、エクササイズ直後にクールダウンを十分に行わず、過度にサウナや入浴を行った人が俗に言う脳貧血を起こして転倒する事故が多々見られます。
- TVの場合、取材時間や放映時間の制約などからどうしても一面的な見方に陥りがちに思えます。ある側面から見るとそれは正しくても、別の側面から見ると誤りということもあるのです。
- 次に『あるある…』のHPが更新されたとき、内容を確認して、またコメントしたいと思います。
- 今、『あるある大辞典』のHPを見て、前回私がお答えしたように、「体温の上昇」が体脂肪燃焼の非効率化を招く、という記述を確認しました。私が挙げたネガティブな側面が強調され、あの結論を導いたようです。
- ただ、HPに挙げられていた有酸素運動にしても、無酸素運動にしても、あるいは入浴にしてもですが、もっと全体的にとらえる必要もありますね。例えば、湯船の温度であるとか、漬かる時間であるとか。もし仮にその瞬間に体温の不適切な上昇が見られ、脂肪の燃焼効率が落ちたとしても、体が冷えてくるその後はどうか。また、適温での入浴によるリラクセーション効果と疲労回復効果による筋の適切な発達と代謝量の上昇などはどう見るかという検討も必要です。
- HPには有酸素運動と無酸素運動の単純かつ一面的な比較がありました。確かに有酸素運動は運動中に脂肪を燃焼することができますが、無酸素運動は筋破壊や筋肥大の効果が大きかったりしますので、運動中に脂肪を燃焼できなくても、運動をしていない時間(現代人の多くは運動をしていない時間のほうが長いですね)の脂肪燃焼量を高めることができるでしょう。見方を変えればこんな事実も出てくるものなのです。
- 1つの方向からだけばっさりと切った結論は明確に見えますが、多くの場合単に考証が不足しているだけのようです。TVなどのメディアは分かりやすく、確かに役立ちますが、私は参考資料の一つとしてとらえることをお薦めいたします。