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中原雄一( 21/10/20 Wed 22:43 更新)

各種目で使用する重量のバランス

Q(質問)

  • 種目毎での扱う重量の目安についてお伺いします。自宅でトレーニングしていると重量が適正なのかどうかの判断が出来ません。バランスが分からないのです。
  • ベンチプレスを100とした場合に「これぐらいの重量でトレーニングできるとバランスがいいでしょう」という目安をお持ちでしたらご教示下さい。
  • #スクワット,デッドリフト,バックプレス,バーベルカール,プッシュアウェイ,ベントオーバーロウイングなど...   (男性)

A(回答)

  • ご自宅でトレーニングされているとのことですが、とてもすばらしいことだと思います。自宅トレーニングは動機づけが難しいといわれますが、段階的な目標設定をすることで継続しやすくなると思います。また、自宅でのウエイト トレーニングでは落下による重大事故が発生する場合がありますので、補助者を付けたり、完全にコントロールできる重量でトレーニングされることをおすすめいたします。
  • さて、全身のバランスの問題ですが、これが非常に難しいのです。たとえば、理想的な全身のバランスと健康について述べられた資料を見かけることがないからです。また、求められる生活スタイルやスポーツ種目などによってもこのバランスはことなってくるでしょう。
  • ただし、スポーツや外傷予防などの観点からは「筋力のバランス」の問題が多数指摘されています。
  • たとえば、腹直筋(腹部前面の筋肉)に対して極端に背筋群(「脊柱起立筋=脊柱を伸展させる筋肉」や「腸腰筋=股関節を屈曲させる筋」など)の力が強い場合、腰の反りが強くなり、腰痛の原因になることがあります。このケースの場合、腹直筋や背筋群を個々に筋力測定するのが困難で、また同じ背筋群でも脊柱起立筋と腸腰筋では役割が異なるため、筋力の比率を導き出すのは困難です。
  • また腿の前面の筋が背面に比べて強すぎる人が多いのですが、このようなケースでは大腿の後面の筋肉を損傷する可能性が高くなります。大腿部後面の筋肉が前面の筋に対して8割位の力を保つのが理想だといいますが、レッグ エクステンションとレッグ カールの重量比率でそのまま考えればよいともいえないかもしれません。
  • この比率について、スポーツの一流選手では例外なく、後面の筋の発達の比率が一般人よりも高いそうです。この点から、スポーツパフォーマンスの改善に大腿部後面のトレーニングは役立つかもしれません。
  • ベンチプレスを100として体の各部の目安を設定するとなると、もっと大まかになってしまいます。健康的な観点からは、おそらくスクワットも100位で問題はないでしょう。しかし、何かの運動のために生かすようなスポーツのストレングス トレーニングとしては150はほしいところです。デッドリフトも同様になるでしょう。バックプレスは少し落ちて50-60程度になるかもしれません。バーベル カールのような腕の運動ではさらに落ちて30-40位が一般的です。プッシュアウエイについては、「上腕三頭筋」という筋をかなり畳んで行う運動ですので、高重量のトレーニングは困難です。
  • 上記の目安は必ずしも理想というものではなく、私の指導経験からの一般的な傾向です。また、多くの会員の方は下半身のトレーニングをあまり行わず、上半身を一生懸命に鍛える傾向があります。1993年にハワイのゴールドジム(カラカウア通り:今は別のスポーツクラブになってしまったと聞きます)に行ってみたときも、皆上半身ばかり鍛えていました。それはそれで否定できないと思いますが、立位でのトレーニングで、あまりに下半身が弱かった場合、バランスを失いやすくなる可能性があり、トレーニング効率が落ちたり、傷害発生の原因になったりすることも懸念されます。

中原 雄一

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