中原雄一(
21/10/20 Wed 22:43
更新)
「栄養」と「栄養素」
- 「栄養」と「栄養素」の区別
- 私は仕事柄、よく「この食べ物には栄養がありますか?」と聞かれます。しかし、この質問自体、よく考えてみるととてもおかしな内容なんです。
- なぜなら、この質問が「栄養」と「栄養素」を混同していると思われるからです。そこで、このページでは、「栄養」と「栄養素」について、もう一度見直してみましょう。
- 栄養 nutrition
- 生体が物質を体外から取り入れて全身の細胞で利用し、成長、発育して生命活動を維持しながら、健全な生活を営むこと。
- つまり、栄養とは食べ物を取り入れたあと、それを処理する体の状態のことを示すのです。
- 栄養素 nutrient
- もう一度、上記の質問に戻ってみると、「栄養」という言葉ではなく「栄養素」という言葉を使うべきであることが明らかになります。「食事には栄養素はあっても、栄養はない」ことになるからです。
- 今後ICOライブラリで栄養・栄養素に関する情報を提供していく場合には、この両者を明確に区別してまいりたいと思います。
- 栄養素の分類
- 栄養素とは、上記の通り、栄養のために外部から体内に取り入れる物質ですが、それは「タンパク質」「糖質」「脂質」「ビタミン」「ミネラル」に分けられます。前三者は体内で分解されエネルギーを発生しますが、後二者にはそのような働きはありません。
- それ以外に、非栄養素として食物繊維があげられます。また、「水」も生命活動に大きな役割を果たす物質であることはご存じでしょう。
- また、栄養素について、「三大栄養素」「五大栄養素」というような表現をすることがあります。通常、前者は「タンパク質」「糖質」「脂質」を指すものであり、後者はそれに加えて「ビタミン」「ミネラル」を加えたものです。
- しかし、専門家によると、後者の「五大栄養素」という呼び方は厳密には誤りなのだそうです。なぜなら、「三大栄養素」の「大」はmacro-nutrient(タンパク質、糖質、脂質)のmacroを意味しているからです。ビタミンやミネラルはmacro-nutrientではなく、micro-nutrientですので、「大」ではないわけです。
- そのようなわけで、ビタミン、ミネラルについては、「三大栄養素」に対して「微量栄養素」と呼ばれることになります。
参考図書
『健康運動指導士養成講習会テキストI-5-1 栄養学総論』(細谷憲政)
『食生活をデザインする』(鈴木正成/講談社)
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