レクチャー ルーム
栄養士:石川眞弓( 21/10/20 Wed 22:43 更新)

ミネラル mineral

ミネラルの概要

ビタミンの場合は反応する物質の一部になるのではなく触媒的に体内の物質の生化学的な反応を促進します。

それに対してミネラルは体の中に科学的な物質として、あるいは物質の構造の一部、ホルモンや酵素の核として存在します。

例えば亜鉛は60以上の酵素の構成要素となっており、それらのいくつかは筋肉内にあってエネルギーの生産や、細胞の代謝をコントロールしたり、摂取食物からエネルギーの生産にも関与しています。

また、あるミネラルは運搬システムとして働き。鉄のように酸素を運ぶ働きをしたりします。

すなわちミネラルはビタミンと同様にそれ自身がエネルギーとして利用されるものではないのです。

個々のミネラルは体に吸収される割合においてかなりの差があります。

そのままの無機質の形では吸収が困難で、炭素をその構造の中に持つ有機物と結合した形になると吸収利用率が高まります。

しかし、過剰摂取による毒性はビタミンよりもミネラルの方がもっと注意が必要です。1日の摂取量の10倍以上のミネラルは決して摂らないで下さい。

人の体の70%は水分で、細胞内には40%でカリウムに富み、細胞外には60%でナトリウムに富んでいます。

失われるルートとしては発汗や排尿です。

  

ミネラルの役割 

名称 摂取量mg/日 食 品 働  き 特徴・コメント
Caカルシウム 800 乳製品・豆類・暗緑黄色野菜・ひまわり種 歯・骨・神経を作る。健康な心拍数を維持。筋収縮に必要。 20%のCaは毎年変換される。99%程度は骨や歯を形成しており、1%余りは血液や神経にある。体には約1~1.3%のCaがあり、そのうち約12gが血液に乗って体の生化学的反応家庭に関与している。一度に甘い物を多量に摂ると血液中にピルビン酸を増加させ血液を酸性にしてしまう。血液は弱アルカリ性でないと種々の成果学区敵反応がスムーズに行われない。欠乏すると神経的にはびんぼうゆすり、短気、いらいら、がんこという症状が現れてくる。筋肉の痙攣やつりも引き起こす。又蛋白質の大量摂取もCaを消耗する。VDは吸収力を高める。
Mgマグネシウム 350 たね類・大豆・緑黄色野菜・トウモロコシ VC,Ca,K,Na,Pの代謝を助ける。血糖をエネルギーに換える。酸・アルカリのバランス保持。組織へのCa沈着防止。心臓脈系の健康維持。VB,VE の利用を助ける筋収縮メカニズムに不可欠。炭水化物とアミノ酸の吸収に必要 ストレスによる心臓脈管系への予防も報告されている。アルコールを飲む場合は特に必要である。
Pリン 800 乳製品・穀物・卵・たね類・肉・魚 核酸の構成要素。骨や歯の形成。細胞の成長と修復。ATPの構成要素で、炭水化物・脂質の分解とエネルギー生産に不可欠。腎臓の機能維持 Pが体内でよく働くにはCaとVDが必要。摂りすぎはCaの消耗を招くので、Ca:P=2:1が良い。
Kカリウム 1700 -5100 スイカ・メロン・バナナ・緑色野菜・トマト・柑橘類 水・Naと共に働き電解質のバランスを取る。酸・アルカリのバランスを保つ。筋肉・心筋収縮促進。体の老廃物処理を助ける。婦人病を防ぎ、ホルモンの生産を補助。 アルコール、カフェイン、ドラッグ、ストレス、下痢で欠乏しやすい。利尿剤や生薬では大黄と甘草もその元凶である。芍薬甘草湯は骨格系の痛みや筋肉の痙攣を治すために使用している運動選手は注意して下さい。サプリメントとしてタブレットで取るのが良いでしょう。
Naナトリウム 1100 -3300 海草類・塩・人参・セロリ 水分の貯留。胃酸や他の分泌腺の機能に必要。神経機能の正常維持や筋肉が正常に働くのを助ける。 日本食は特に塩分が多いのでかえってK摂取に心がける方が適切。
Cl塩素 1700 -5100 海草類・塩・オリーブ・アボガド・キャベツ 名、Kと共に働き体内の電解質や体液の酸・アルカリのバランスを保つ。甘草の働きを良くし老廃物の排泄を促進。 塩分の多い日本食では必要量は完全に満たされているし、水道水からも摂っている。
Fe鉄 10-18 アスパラガス・ほうれん草・卵モロヘイヤ・レバー赤肉・牡蠣 蛋白質や銅と結合してヘモグロビンを形成し赤血球に乗って体中に酸素を運搬する。ストレスや病気、疲労に対する抵抗力を付ける 持久力を必要とするとき必要である。ところが食生活において他の栄養素に比べて非常に少ない。さらに摂取された分の10%程度しか吸収されないのである。サプリメントを摂りすぎても便秘という弊害が起こる。VCは吸収力を高めるのでそちらの摂取かサプリメントを推奨する。
Zn亜鉛 15 ホールグレイン・イースト・カボチャ種肉類・牡蠣 DNA,RNAそして体のプロティン代謝に不可欠。骨の密度や強化を高める。怪我、火傷、障害のダメージや細菌感染症等からの回復促進。炭酸ガスの排除も助ける 血糖の利用を調節するインシュリンのベース。炭酸ガスの排除も助ける。ストレスで欠乏しやすく、銅との割合が高くなると高コレステロール血症を起こす。
Cu銅 2-3 牛肉・レバー・レーズン・プルーン・エビ・貝 RNA、蛋白質代謝、鉄の吸収利用を助ける。脂肪の代謝エネルギー生産を助ける。VC利用を助ける。 ドーパミンをノルエピネフリンに変換する反応を始めとし多くの酵素反応の補足因子として重要。銅のレベルは運動前より後の方が高い。
Mnマンガン 3-70 果実・緑野菜・穀類・ナッツ 3大栄養素の代謝に関与する酵素構成要素。CLと共に働き脂肪の消化と利用を助けエネルギー生産を促す。脳・神経・筋肉の安定した機能の維持。骨・靱帯・軟骨・椎間板の形成と修復に不可欠。 サプリメントとして摂ることを推奨します。
I ヨウ素 0.15 海魚・タマネギ・卵・乳製品・海草類 成長やエネルギー代謝のコントロール。精神の明晰さを保つ。健康な髪、皮膚、爪、歯の維持。蛋白質の合成をコントロール。 2/3以上は甲状腺の中にあり、チロキシンを作るのに不可欠。チロキシンは精神や肉体の活動や代謝、エネルギー生産、体重、皮膚の状態などをコントロールする。海の幸を多く摂取する日本人には欠乏の心配はない。
Seセレニウム 0.05 -0.2 海産物・野菜・肉類・まぐろ・トマト 組織の柔軟性を保つ。老化防止。 抗酸化剤として働き細胞膜へのダメージや酸化作用で組織が堅くなるのを防止し、老化を送らせる。男性は特に射精により失われるので注意。
Crクロム 0.05 -0.2 マッシュルーム・ 牛肉・レバー・鶏肉・貝・リンゴの皮・コーン油 体の耐糖能を決定する重大な要因である。心臓の蛋白質合成に関与。高血糖を低くし糖尿病の予防や促進を助ける インシュリンと共に働き代謝を調節するのでブドウ糖の利用には不可欠。インシュリンは血糖を細胞内への取り入れを行うがCrがないと実際糖分は細胞内に入れないようにエネルギー利用に大切なミネラル。
Fフッ素 1.5-0.4 水・茶・海産物 強い骨、歯を作り虫歯を予防 Caの構造を強化し歯を守り成長を促進する。又Caの沈着や貯留も促進するので骨粗鬆症の予防の報告もある。
Coコバルト 2mg 穀物・貝・肉類・レバー・緑色野菜・ 赤血球を形成し貧血を防止。 CoはV12の構成要素で、V12が体への吸収過程にも必要である。
Siケイ素 未定 水・苺・たまねぎ・ピーナッツ 皮膚や結合組織の形成を助け、強く健康な骨や髪、皮膚、歯をつくる。怪我からの治癒の促進  
S イオウ 未定 蛋白質に富んだ食品 腱や軟骨など、結合組織に重要。放射線や汚染から体を守り、老化抑制する。 メチオニンやシステインなどのSを含むアミノ酸の形で取り入れられる。
Moモリブデン 未定 穀類・内臓・イースト・暗緑野菜 いくつかの酵素構成要素。炭水化物や脂肪の代謝を助ける。  
Vaバナジウム 未定 魚類 脂肪の代謝を調節し、コレステロールの蓄積を防止。  
Snすず 未定 缶詰 成長促進  
Niニッケル 未定 野菜 エネルギーの生産を助ける。  
Pb鉛 未定 缶詰・ボーンミール 少量において貧血を防止  

 

▲ Top