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栄養士:石川眞弓( 21/10/20 Wed 22:43 更新)

脂質 lipid

脂質の化学

その化学構造により脂肪酸、脂肪酸とグリセロールが結合した中性脂肪(トリグリセリド)、複合脂質であるリン脂質、コレステロールに分類されます。

脂肪酸は化学構造の特徴からさらに飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分類されます。

飽和脂肪酸を多く含むものは豚脂肪(ラード)や牛脂(ヘッド)やバターのように固体、不飽和脂肪酸を多く含む植物油は液体の形状をしています。

脂肪酸は3個のグリセリンと結合した中性脂肪(トリグリセリド)として存在し、エネルギー源として利用されます。人体での脂肪の貯蔵形態もこの中性脂肪です。

また、脂肪酸もエネルギー源となる以外に各々の役割も担います。

 

脂  質 役  割 特記事項
コレステロール  
  • 細胞膜の原料となる
  • 副腎皮質ホルモンを合成する
  • 胆汁酸の原料となる
  • ビタミンDの先駆物質を作る
コレステロールを体中に運ぶのがLDL、余ったコレステロールを回収して肝臓に運び胆汁やホルモンとして再生できるようにするのがHDLである
飽和脂肪酸
  • コレステロールを増やす
  • 中性脂肪を増やす
  • 血液の粘度を増す
 
不飽和脂肪酸 オレイン酸
  • 血中コレステロールを減らす
  • 胃酸の分泌を調整する
  • 腸の運動を高める
 
リノール酸
  • 血中コレステロールを下げる作用が最も高い
必須
α-リノレン酸
  • 体内でEPA、DHAを合成する
必須
γ-リノレン酸
  • 血糖値を下げる
  • 血液の流れを良くする
  • 血圧を下げる
  • 血中コレステロール値を下げる
 
アラキドン酸
  • 血流や血圧を調節
  • 免疫系の機能を調節
必須だが不足することはまずない
エイコサペンタエン酸 (EPA)
  • 血管を拡張する
  • 血液の流れを良くする
  • 血圧を下げる
  • LDLコレステロール(悪
  •  玉)を減らしHDLコレステロール(善玉)を増やす
  • 血中の中性脂肪を減らす
 
ドコサヘキサエン酸 (DHA)
  • 血液の流れを良くする
  • 血圧を下げる
  • LDLコレステロール(悪玉)を減らしHDLコレステロール(善玉)を増やす
  • 血中の中性脂肪を減らす
  • 脳・神経組織の機能に役立つ
 

 

脂質の消化・吸収・代謝

胆汁や膵液に助けられてグリセロールと脂肪酸に分解され、小腸から吸収され門脈から肝臓へ直接運ばれるものもありますが、ほとんどは腸の上皮細胞でトリグリセリドに再合成されコレステロールやリン脂質と共にリンパ管及び胸管を通り鎖骨下の静脈に入ります。

その後血中で分解され各組織に送り込まれそれぞれの役割を演じます。

脂肪酸は肝臓で代謝を受けてアセチルCoAとなってTCAサイクルに入ってCO2とH2Oに分解され高エネルギーを放出します。

余分な脂質はアセチルCoAから再度中性脂肪の合成の経路へともどり中性脂肪に再合成されて体内に貯蔵されます。 

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