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栄養士:石川眞弓( 21/10/20 Wed 22:43 更新)

糖質 glucide

糖質の化学

炭水化物は単糖と呼ばれる最小単位が1~多数結合したもので、消化性の糖質と非消化性の食物繊維に分類されます。

炭水化物には、1~数個の単糖が結合した「単純炭水化物」と多数の単糖が複雑に結合した「複合炭水化物」があります。これらの炭水化物は消化酵素の働きなどにより単糖に分解された後に小腸から吸収されるのです。マンナン等のような食物繊維は体内にその分解酵素がない等の理由で吸収されない複合炭水化物です。

種  類 代表例 役  割

単純炭水化物

単糖 (1個)  

●グルコース(;ブドウ糖)

フルクトース(;果糖) 

ガラクトース 

マンノース etc.

運動の際の早急なエネルギー補給や低血糖時などの脳への血糖補給。

血糖値が急速に上昇するので過剰の際は脂肪合成への道をたどりやすい。

少糖 (2-20個)

スクロース(;砂糖)

●ラクトース(;乳糖) etc.

複合炭水化物

多糖 (数100-数1000)

●●●……●グリコーゲン etc.

●●●……マンナン etc.

肝・筋肉へのグリコーゲン貯蔵で、体力は蓄積されたグリコーゲンの量に比例する。

 

糖質の消化・吸収・代謝

<<吸収された糖質のゆくえ>>

小腸までの過程で単糖に分解された後に吸収され毛細血管から門脈を通って肝臓に運ばれた単糖は全てグルコースに変換され、血流を介して全身に行きわたり各臓器細胞に取り込まれます。

単位の小さな糖(単純炭水化物)ほど大きな糖より物理的に分解が早いのでそれだけ吸収が早くなります。この事を念頭に置き目的により摂取するタイプを選ぶのが良い摂取方法です。

つまり単糖や少糖(特にスクロースなどの2糖類)は即多くのエネルギーを補充したい場合に、多糖はエネルギーとして使われなかったグルコースをグリコーゲンとして効率よく組織に貯蔵したい場合に適しています。

この余った血液中のグルコース(血糖)は肝臓や筋肉組織への貯蔵に向かう量がある程度決まっているので、ここでグリコーゲン合成に使い切れなかった余分な血糖は脂質として合成され中性脂肪となって体内に蓄えられます。

急速なエネルギーの補充が必要でない通常の状態では吸収速度を緩やかに調整するような摂取を心がけ、血糖値が一定レベル以下に保つ事で取り込まれた糖をできるだけたくさんスムーズにグリコーゲン貯蓄の方向へと導いてあげることが、余分な体脂肪を増やさない方法と言えます。

また、蓄積されたグリコーゲンの量は体力の量に比例するので、自分の筋肉の中に蓄えられる最大限の量を貯蓄してあげることが体力と運動エネルギーの向上となり、結果的に消費エネルギーの上昇にもつながります。

 

<<糖質の分解>>

グリコーゲンやグルコースは酸化分解を受けてエネルギーを発生し、最終的にはCO2(炭酸ガス)とH2O(水)になります。この際糖質が完全燃焼するためには3つの段階を経ることが必要です。

 

<<解糖経路>>

肝臓、筋肉をはじめ生体の各器官でエネルギーを必要とするときに、貯蔵及び吸収されたグルコースグリコーゲンが最初に代謝される経路で、ピルビン酸あるいは乳酸を生ずるまでの経路を解糖経路といいます。

この過程は全く酸素を必要としないので嫌気的糖分解と呼ばれます。

 

<<ピルビン酸の脱炭酸反応>>

解糖で生じたピルビン酸は酸素の供給がない場合(嫌気的条件)乳酸となり疲労物質として蓄積され、酸素が存在する(好気的条件)と脱炭酸されてアセチルCoAという物質になり次のTCAサイクルと呼ばれる経路へと進みます。この脱炭酸反応にはVB1を必要とするので、糖質の摂取量が多い場合はVB1をそれだけ多く摂取しましょう。

 

<<TCAサイクル>>

B.で生じたアセチルCoAオキザロ酢酸という物質と結びついてクエン酸を生成しTCAサイクルへと入りCO2とH2Oを生成して完全に酸化されて多量のエネルギーを放出します。吸収された糖質が代謝されてアセチルCoAになった段階が脂質の合成・グリコーゲンの再合成・TCAサイクルでの完全燃焼との分かれ道となります。TCAサイクルに入ってしまえば全てエネルギーとなり脂質合成に向かうことはなくなるのです。

逆に、体脂肪が分解される時は糖質から脂質が合成されるのと逆の経路で代謝され、アセチルCoAにまで代謝された後TCAサイクルに入り分解されるのです。

 

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