ちょっと長いのですが、これからエクササイズを始めよう、というかたのために、フィットネス プログラムのエッセンスをまとめてみました。
初めてエクササイズを行うかた、ブランクがあるかたはここで紹介する「ベーシック プログラム」からスタートされることをおすすめします!
あなたがICOに興味をお持ちになった理由はなんでしょうか?
「健康になる」
「ちからを強くする」
「やせる」
「ストレス解消」
など、フィットネス クラブを利用する目的はさまざまですよね。 ただし、
「運動経験がない」
あるいは
「最近運動をしていない」
という方にとっては、まずは「目的別のプログラム」をこなせるだけの
「基礎的な体力」
「フォームの勉強」
が必要になります。
そこで、このオリエンテーションでは、「ベーシック プログラム」をご紹介させていただくことにします。
このプログラムの目的は、基礎的な体力を養い、正しいフォームを覚えることです。つまり、ベーシック プログラムは、次の段階で目的別のプログラムに移行したときに、効果を最大限に上げるための「土台づくり」となるのです。
「柔軟体操」ともいわれる、関節の動く範囲を広げるエクササイズです。
最近では「イチ、ニノ、サン」と弾みをつけて行うタイプのものではなく、伸ばしたらその状態で一定時間止めるタイプのもの(スタティック ストレッチング)が主流となっています。
運動の前後に行うことにより、傷害の発生を予防したり、疲労の回復を早めることができます。
バーベルやダンベル、あるいはマシンなどを使って、筋肉を部分的に鍛えるエクササイズです。重りを使うケースでは「ウエイト トレーニング」と呼ばれたり、また目的によって「筋力トレーニング」とか「スピードトレーニング」などと呼ばれたりすることもあります。
ここでは、筋肉に抵抗を与えて、その成長を促すエクササイズという意味で「レジスタンス エクササイズ」もしくは「レジスタンス トレーニング」と呼ぶことにします。
このレジスタンス エクササイズ適切に行うことで、筋力が高まったり、筋肉が太くなったりするでしょう。その結果、
「代謝を上げて減量しやすいカラダをつくる」
「からだをパーツごとに引き締める」
といった効果も期待することができます。
日本語では「有酸素運動」と呼ばれています。
カラダの中に大量の酸素を採り入れながら一定時間行う、「持久力(ねばりづよさ、スタミナ)を高めるタイプのエクササイズです。
代表的な種目として、ウォーキング、ジョギング、エアロビック ダンスなどが知られていますね。
運動中に「脂肪」をエネルギー源として使うことができることから、減量に向いたエクササイズといわれています。
水中で行うエクササイズの総称で、実にいろいろな応用が期待されるエクササイズです。
レジスタンス エクササイズのようなアネロビック(無酸素=酸素を使わずに運動エネルギーを発生させる) エクササイズ的要素も、エアロビック エクササイズ的要素も含みます。
スイミングとアクアビクスが良く知られる種目ですが、アクアエクササイズは水をうまく使うことにより、いろいろと応用を効かせることができるのです。
エクササイズ(運動)を効果的に、安全に行うためには、ウォーム アップ(準備運動)とクール ダウン(整理運動)はを欠かすことができません。プログラムの最初と最後に必ず入れる習慣をつけましょう。
エクササイズの基本的な流れは以下のような形になります。
![]() |
ウォーム アップは大別して
「血液を循環させて体を温める運動」
「ストレッチング(柔軟運動)」
の2種類があります。
軽くリズミカルにカラダを動かすことで全身に血液を送り、筋肉の温度を高めます。バイクや軽いウォーク、ジョグなどを行えば良いでしょう。ご家庭内で行うような場合には、軽い首の回旋、腰のひねり(回転)、手首、足首の回旋、膝の屈伸などを利用しましょう。
ウォーム アップ(1)で温まった筋肉を伸ばし、関節の動く範囲をあらかじめ広げておきます。
ウォーム アップが終わったら、レジスタンス エクササイズや強いウォーキング、ジョギングなどのメインとなるエクササイズを行います。
特にジョギングのような強い有酸素運動を行ったあとの大切な心がけとなります。
エクササイズからクール ダウンへの移行は、比較的激しい動きから、少しずつ運動のペースを落としてゆっくりと安静状態へ近づけていくのが基本。
例えば走っていた場合には、少し時間をかけてスピードを落とし、最終的に「止まります」。これは脳貧血や心臓発作を防止するのに重要な心がけになります。というのは、急にリズミカルな運動を止めてしまうと、運動中に下半身にたまった血液が心臓に戻りにくくなるからです。
下半身、特にふくらはぎは「第二の心臓」とも呼ばれる重要な部分。この筋肉がリズミカルに収縮することで、下半身の血液を心臓に戻してくれているのです。ですから、メイン運動が終わったあとも、しばらくの間、この筋肉の活動を保つことはとても大切なこと。
最後に締めくくりとして、ストレッチングを行います。激しい運動で疲労した筋肉を伸ばして回復を早めるのに役立つでしょう。
この運動は特におろそかにされがちです! 疲労の蓄積による傷害が起こるのを防ぐため、必ず入れましょう。
1980年代から日本で盛んに行われるようになった、エアロビック ダンスは、ウォーム アップからクール ダウンまで、上記の流れが一つのプログラムとしてパッケージになっており、非常にバランスのとれたものです。
最近では、よりダンスにシフトしたもの、格闘技の要素をとり入れたもの(ICOのカンフー フィットネスなど)も見られるようになってきました。また、「ボディパンプ」など、スタジオにバーベルを持ち込んで、集団で筋力トレーニングを行えるプログラムが開発され、実施されるようになっています。
レジスタンス トレーニングを行う場合、10回持ち上げたら1分くらい休んで、次の10回を行う、というような方法がとられるケースが多いのですが、この1分間の休みの間に「ストレッチング」を入れるという考え方もあります。
短い休憩の間に筋肉を伸ばして、次の10回に備えるというわけですが、その効果については意見が分かれているようです。
エクササイズは「軽いものからはじめて徐々に強いものにしていく」のが鉄則! 無理をしても長続きしなければ意味がありません。
なにを始めるにも、目標を持つことが大切ですね。体力を維持する、減量する、あるいは筋肉をつけるなどの目的に対し、実行可能な、手の届く範囲にあるゴールを設定してください。そこをクリアしたら次のレベルの目標を立てればいいのです。
よく、現実的ではない目標を設定してしまう方を見かけます。やる気は評価できるのですが、実現が難しいため、そのうちその目標が重荷になってしまうようです。
最初に余裕を持って目標を設定していけば、それをクリアすることも決して難しくはなく、ゴールするたびに一つの満足感を得られることになります。
もちろん、最終的なラインとして、大きな目標を設定することは悪いことではありません。むしろ、モチベーション(動機)を長く保ち続けるためには重要な存在です。しかし、そのような大目標も小さな短期的目標の積み重ねであることを知っておいてください。
まずはあなたご自身の体調や体力のレベルを確認しておきましょう。体調がすぐれない場合はメディカル チェックを受ける必要があります。
減量を行いたい場合は体重・カラダのサイズなどを測定し、保管しておいてください。体力測定機器が周辺にある場合は、それで各体力項目を測定しておけると、各段階で目標設定するときにとても役立ちます。
毎回のトレーニングの記録を付けておくと良いでしょう。
「どのような種目を何回行ったとき、どんな感じがしたか」という記録が残っていると、一定期間を経たのち、どの程度効果が現れているのかを知ることができます。
また、ある効果に対してどのようなエクササイズを行えばよいのかを分析することもできるでしょう。
最初の目標は、「基本をおぼえること」。
しっかり基本(土台)をつくっておくことで、長期的ヴィジョンでプログラムを組み立てられ、高いレベルに到達することができるでしょう。
健康のためのエクササイズが、事故を招いてしまっては本末転倒ですね。常に安全管理を行う意識をお持ちになってください。
具体的には
よく、「汗をかいたら〇kgやせた!」というようなお話をうかがいますが、余分な体脂肪が燃えて体重が落ちるのと、一時的に水分が抜けて体重が落ちることについては区別すべきです。
水分抜け=やせ、と混同しているケースになりますが、運動中に通気性の悪い、「サウナスーツ」と呼ばれるようなウエアを利用されているかたがいます。スポーツ クラブやフィットネス クラブなど、室温が適度に保たれている環境下では、まったく必要がないばかりか、熱中症などを招く危険性も高くなります。
むしろ、余計な脂肪を落とす、という観点からは、体温を適正に保ったほうが効率がよいことを知りましょう。特に室温が一定に保たれた施設などでは、通気性のよいトレーニング ウエアを選択してください。
また、シューズについても、スポーツ障害を防ぐ上でその選択はとても重要なポイントになります。エアロビクスを中心に行われるかたは、底の厚いフィットネス シューズを選択するとよいでしょう。
逆に、筋力トレーニングで重い重量を扱うかたの場合は、底がうすく、固めなシューズのほうが、エクササイズ中の安定性を保つ上で好ましいようです。
運動は、体温を上昇させ、発汗を促進します。体内の水分が失われることにより、体温の調節がうまくいかなくなり、熱中症のような恐ろしい症状を引き起こすことがあります。運動中もこまめに補給しましょう。そのポイントを下にまとめました。
こちらについては、「石川栄養士の栄養学コラム」もご参照ください。
さて、これからフィットネス プログラムを開始わけですが、どのような目標に向かって、どの程度の運動を行うのか、その基準となる指標がほしいところです。
ここで再確認をさせていただきますが、
「体調に不安があるかた」
「現在医師の下で治療を受けているかた」
は、まず主治医に相談なさってください。
運動を禁止されている方は、決して運動プログラムを実施してはいけません。
また、
「運動のブランクがあるかた」
「年齢が30歳以上のかた」
は医師に相談されることをおすすめします。
普通のスポーツクラブ・フィットネスクラブでは体力測定も行うケースが多いのですが、少なからず危険も伴いますので、現在はその紹介を控えます。
ここでは、体の形態を知り、目標を設定するための手段として、形態・その他の測定を行ってみたいと思います。
上記の測定結果をご自分のノートに記録しておいてください。
あなたが女性なら、「体脂肪率計算機」を利用することもできます。
次に、上記の情報を基に、あなたの肥満度を計算し、これもノートに記録しておきましょう。
「肥満度の計算」のページを利用していただくと便利です。
記録を終えたら、目標を設定してみましょう。まずは、
「現在の体重を標準体重に持っていく」
「ウエストのサイズを10cm減らす」
などのメインとなる目標を設定します。
次に、目標に到達するまでのスケジュールを引きましょう。体重の場合は最高でも月に2kgまで。たとえば10kg体重を減らして標準体重に持っていきたいという方は最低5カ月かけてメイン目標を達成するというスケジュールを作る必要があります。
サイズは個人差がありますけれども、ウエストやヒップのような部位を減らす場合は、月に3-4cmくらいまで、腕などの細い部位の場合は、月に1cmくらいまで、大腿部はその中間くらいまでで短期的な目標を設定し、スケジュール化してください。
このような形態測定を定期的に行い、効果を確認していくようにします。
今回、ご自宅用とフィットネス クラブ(公共クラブ含む)用の2つのプログラム パターンを紹介します。以下の<<ベーシック プログラムの例>>から選んでご利用ください。
ただし、このこのプログラムはひな型であり、「ノルマ」ではありません。そのまま行うには不都合があるかもしれませんし、日によって体調が変わることもあるでしょう。
そのときどきの状態に応じてさじ加減を行うのはあなたご自身。軽すぎる、あるいは重過ぎると感じたら、重量や回数などを調整してかまわないのです。
どうしても不安がある場合は、ICOの各種掲示板や、PeaceMindのカウンセリングをご利用ください。
総合的にフィットネス レベルを高め、快適なライフスタイルを形作るためには、「運動しっぱなし」ではいけません。適切な運動に合わせて、それに見合う休養と栄養が必要になるのです。
休養については、疲労が蓄積しないよう、計画的に取っていく必要があります。
エアロビック エクササイズの効果は、毎日行うことで最高になるといいますが、定期的なエクササイズは、最初は週3-4回からでいいと思います。
レジスタンス エクササイズは、筋肉にかかる負荷が大きいですから、間に確実に1日の休息を置くため、週2-3回程度とします。
つまり、上記のトレーニング日以外に休息をとる、というわけですね。
また、1日8時間程度の睡眠を確保することも大切。フィットネスは
「『行っている』ときではなく『休息(回復)している』ときに作られる」
のだ、という認識を持ってみましょう。
主食、主菜、副菜のバランスがとれた食事をおすすめします。
脂肪の割合の多い食事、砂糖の多い食事を控えめにしてみましょう。これらの食事は「太りやすさ」に密接に関連しています。
飲酒については、過剰でなければ特に問題はないでしょう(むしろ利点も)。もちろん、健康上に問題があり、禁止されているような場合は該当しませんが。こちらを参照して下さい。
ベーシック プログラムは本来はパーソナル(個別)プログラムへの入り口です。プログラムを安全に、効果的に行うためにプログラムはより個別化されるべきでしょう。
今後、アスレチック ジム、スタジオ、レクチャールームなどで、さまざまな方面からプログラムを幅広く展開していく予定です。
現在、「目的別プログラム」のページに各種プログラムのサンプルがありますので、そちらを利用なさってみてください。
今回のオリエンテーションで形態などの測定を行いましたが、スケジュール管理、モチベーションの維持・リフレッシュなどの目的で、2-3カ月に1回、まとめて測定を行うとよいでしょう。
また、定期的にメディカルチェックを受け、ご自分の体調管理を十分に行っておいて下さい。